ちょうど、髪の毛をゴミ箱に捨ててきて席に着いた本庄さんとほぼ同時に、先生が教室に入ってきた。
クラスのみんなは、
『先生遅いよー』
『遅刻はだめですよー』
とかいじられてたけど、本当はあんなの見ていたら、心は辛さや苦しさでいっぱいなはずなのに、みんな我慢している。いや、させられている。更にKYな先生は、
『おっ!本庄、髪切ったか?似合っているぞ!』
はぁ…… 本当になんなんだ、この教師。本庄さんもこの状況で、私はいじめられてます、とは言えないから苦笑いで、
『あっ…、あ、ありがとうございます。』
本庄さんは絶対に無理をしている。そのことにも先生は気づかない。
『じゃあ一時間目は数学だからこのままな。はい、じゃあ10分休憩。今日も頑張っていきましょう。』
そう言うと、先生は職員室へと消えていった。
バタンッ
教室のスライド式のドアがしまった瞬間ーそれは先生がこの教室を後にした合図。その音がなった瞬間に、生徒たちの顔から笑顔は消えていた。どれだけ無理していたかがわかる瞬間だ。



![【完】[短編]君の隣には彼がいるけど僕の上には君しかいない。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.805/img/book/genre1.png)