ちょっ!ちょっとまって!来るなーー!
心でそう思いながら、振り上げられた拳の手の横に逃げた。花巻くんのパンチは、私の顔を横切って空振りに終わった。
「ちょっと!いきなりなんなんですか!」
さすがにこれで怒らないわけがない。花巻くんにそう問い詰めると、花巻くんは笑いながら
『やっぱりね……
君、採用。僕の予想通り、運動神経良かったし。
頭も良さそうだし、俺に言い返せる根性もありそうだし…?』
は……はぁ。
いやいや!おかしいでしょ!!なに勝手に決まっちゃってるの!?
「断ります。いやです。報酬なんていらないので、他の人にしてください。ではっ。」
私はそう言い残し、走って体育館を出ようとすると花巻くんは、声を張り上げて
『これは命令だ。拒否権はない。』
そう言うと、花巻くんと諸星くんが近づいてきて、
『はい。金森さん?
採用おめでとう。頑張ってね?』
諸星君はそう言って、首にかけるようなカードを渡してきた。私がソレを受け取ると満足気に、彼らは体育館を去っていった。