花巻から呼び捨てで呼ばれたことに私は衝撃を受けていた。

『お前だけは死ぬな!
頼むから死なないでくれよ!』

「え?」

『もう俺の好きなヤツにはいなくなってほしくない……
頼むから死なないでくれよ!』


好きなヤツ…. いなくなる?

「ちょっとまって… どういうこと?」

隣に立っていた智也が花巻の顔を伺いながら、過去に何があったのか話してくれた。


『飛鳥の彼女はだれかに殺されたんだ。』


不破さんも救急車を呼びながら、咄嗟に後ろを振り向き驚いていた。


その横で花巻は哀しそうな目をしながら話し始めた。


『愛されてたけど愛せなかった。
それが原因だったんだ。女が嫉妬して殺した。夕方だった。帰ってきたら死んでいた。』


花巻に恋をした人が花巻の彼女を殺したってこと。



『愛はときに刃物よりも強い凶器となるんだ。』