そのカッターは私ではなく、聖奈のお腹付近に刺さっていた。
私は急いで聖奈の肩に手を回して、床に落ちるのを防いだ。出血しているのにも関わらず、聖奈はつらそうにしながら、話そうとしている。
『ねぇ、華……?
華は…、 華が思う正義を…… 貫けば…いいんだからね……!』
「ねぇ、聖奈!もう話さなくていいから!ね?」
『そ…れが、きっと……正し…い……か………ら…… 』
聖奈はそう言うと、一瞬ニコッと笑って、首をダランとさせて目を閉じた。
「聖奈…? 聖奈…… 聖奈、聖奈!」
『聖奈ちゃん?しっかりして!』
『桜田?大丈夫か?おい!桜田!』
その悲しすぎる現実を頭は理解しようとしていなかった。
『あんたのせいで死んだよ?あんたを守ろうとして。死に損ないさん。』
殺しの犯人である長澤杏奈を見上げると、こっちを挑発するような目で言ってきた。
『あ?ざけんなよ!
オメーのせいだろ!』
その言葉に返事したのは、私ではなく花巻だった。



![【完】[短編]君の隣には彼がいるけど僕の上には君しかいない。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)