『ハアハア…… 』
聖奈が入ってきたのと同時に、バタンと勢いよく屋上のドアを閉めた。
「はぁ… 良かった…… 助かった… 」
膝をついて安心しながら息を整えてると、智也が慌てたような表情を浮かべた。
『ヤバイ!最初の仕事のとき、屋上の出入り口は二つあったって言ってたよね?
てことは…?』
ガチャガチャ
案の定、そこからはカッターナイフを持ち、最初に話したときの冷静さを失った、長澤さんがこちらへと向かってきた。
「こっちにくる…… 」
私たち五人は逃げようとしたけれど、先にあるのは壁だけ。
『大丈夫ですかー!?』
校庭の方から聞こえてくる声に、私たちも、そして長澤さんも驚いていた。
急いでフェンスの方へ駆け寄ると、カメラを持った人が大勢、そして一番前にはマイクを持った記者が一名。
花巻のお父さんの会社の情報漏洩のせいで、マスコミの目はこちらへと向けられてしまった。
『来る前に解決…… できなかったか… 』
そんな珍しく絶望したような声で、花巻が呟いた。



![【完】[短編]君の隣には彼がいるけど僕の上には君しかいない。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)