『まあでも褒めてあげる。私の答えを完全にコピーしてバレないと思った自信と勇気だけはね。
そのくらいの気持ちがあったなら、勉強をするという努力さえあれば、余裕で上位に入れたと思うけどね。』
つい数秒前までは涙目で私の方を見てきたのとは、打って変わって涙を流しながら不破さんのことを睨んできた。
『正々堂々戦ってたら良かったんじゃないの、長澤杏奈?それが出来なかった貴女の本当の姿は、シンデレラでもチャンピオンでもない。
ただの臆病な悪女だよ!』
形勢逆転。
さすがは不破椿。やられるままでは終わらせない意地を感じる。
そしてポケットからスマートフォンを出す。横に傾けて長澤杏奈に向ける。
『カンニングをして、それを他のだれかに擦りつけた挙句、人のことをうす汚いシンデレラ呼ばわりした、性悪女さん。
そんな強そうな人が膝から崩れ落ちて泣いてるよ。こんなんで許せるはずがないのにね。』
撮影をしたそのデータはどうなる?疑問が頭の中で右往左往。
「ねぇ、不破さん、それ撮影してどうするの?」
『ああ、これ?この中学のサイトで絶賛生中継中でーす!残念でした、社会的に抹殺されるのは貴女の方だったね。』
ピロロン
不破さんはスマホの撮影を終了して、この体育館から出て行こうとした。
『ふざけんなよ。』
長澤さんは胸ポケットからカッターを取り出した。
「逃げてー!!!!」
私が絶叫すると、花巻の回し蹴りが一発綺麗に入った。
それでもなお、頑固にカッターを離さない。
『屋上に!』
智也のこの声が響き渡った。



![【完】[短編]君の隣には彼がいるけど僕の上には君しかいない。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)