「失礼しまーす。」
今日は、図書委員がいない。シーンとした図書室。図書室独特の本の匂い。
手元にある星座の表紙に目がいった。
あまり本を読まないあたし。だけど、その時はなぜかその本が読みたくなった。
あたしは、本棚に近い席を選んで座った。
写真も絵もあってどんどんページーをめくる手が進む。
どれくらい時間が経っただろう。
外は、夕焼けに染まりあたしもそろそろ帰ろうと席を立った。
「星座、好きなの?」
そう、聞こえた男の人の声。
「、、えっ、、」
誰もいないはずなのに。
見渡しても誰もいない。
聞き間違いかと思って前を向くと目の前に季節外れの茶色のカーディガン、紺色のネクタイが見えた。
「っっ、、」
あたしは動揺して後ろの本棚に勢いよくぶつかった。
すると、本棚の上に乗っていた古い辞書が上から降ってきて。
「、、ぁ、、」
そういった時にはもう遅くあたしの頭の上に本が落ちていて。
最後に聞こえた。
『っっ、、おいっ!』
って声。
それは、あの声と一緒だった。
