でもそれは、
「この熊は大人しいから大丈夫だよ」
なんて言われてるのと同じこと。
話したところで人間と鬼が仲良くすることなんて出来っこない。
ふう、とため息をつくと
どこからか歌が聞こえてきた。
ここからそんなに遠くはなさそうだ、
彼は声のする方へ行ってみた。
岩陰に隠れて、声の主を探す。
崖の手前、沈む夕日に照らされながら気持ちよさそうに歌を歌う少女。
(こんなところで何してるんだ?)
そんなことを思いながら、心地のよい歌声に耳を傾けていた。
辺りが薄暗くなり、ふと彼女が振り返る。
その瞳にはいくつもの涙が流れていた。
「えっ」
それに気づいた彼は目を丸くした。
