「なに。いつもは優しくないって?」


「いたた、そんなこといってないよぉ」


なんでか知らないけど、悠真は私の頰を軽く摘んできた。


痛くないけど、ふざけて遊ぶ。


そんな些細なことがとても楽しい。


「悠真ー!!」
「……チッ、来やがったな」


あ、あれ?悠真の性格変わってる?


誰かが悠真を読んだ瞬間、悠真は人が変わったように舌打ちして、煩わしそうに呼んだ相手を見ている。


悠真の名前が聞こえた方を振り向くと、そこには制服をきた4人の生徒らしき人たちがいた。


悠真の名前を呼んだと思われる、大きく手を振っている男の子が走り寄ってくる。


「悠真ー、どこ行ってたん……痛ぇ!」


「近い」


近づいてきた男の子に、悠真は容赦なく頭を叩いた。


「なにすんだよー!!ってあれ、その子は?」


「ふぇっ!?」


いきなり視線が向けられた私は反射的にビクッとなってしまった。


その瞬間、悠真は私の前に隠すようにサッと立ち、もう1人の男の子がその男の子の頭を後ろから鷲掴みした。


「おい圭(ケイ)。怖がってんだろうが」


「なんだよ泰雅(タイガ)。気になったんだからしょうがねぇじゃん」


「そっち見てみろ。悠真がお怒りだ」


「げっ!……あ、あのー、悠真クン?」


「……栞に近づくなよ?」


「は、ハイィィィ!!」


悠真の性格が変わったことには驚いたけれど、3人のやりとりが面白くてついつい笑ってしまった。


すると、圭さんと泰雅さんと呼ばれた男の子と一緒に来ていた女の子が私に近づいて来た。


「あれ、知らない女の子がいる〜」


「そうね。悠真、紹介してくれるわね?」


「わかってるよ。そのためにお前ら呼んだんだし」


どうやら最初から悠真は私をこの4人に紹介するつもりだったみたい。


でも、やっぱり自分で言いたいかなぁ。


「悠真、自分で言ってもいい?」


「……いいよ。栞はそういう性格だもんね」


「わかってるね」


「もちろん。言ったでしょ、栞のことならなんだってわかるって」


「そうだね」


悠真との会話を終えると、4人に向き合った。


向き合って初めて、4人が驚いた顔をしていることに気がついた。


「あの……どうかしましたか?」