そんな幸せな日々が続いて、今日は悠真の高校の学園祭当日だ。


悠真が病院まで迎えに着てくれることになっている。


今日はお母さんに可愛い服を持ってきてもらって、それを着てる。


こんな時ぐらい、ちょっとおしゃれにしたいから。


今日は少し寒かったから、丈が長めの白のチュニックと、淡い色のキュロットにタイツをはいて、その上にふわふわの黒いポンチョを着てる。


私の私服はファー付きのとかふわふわしたのが多いのだけれどね。


なんでかこう、ふわふわでもふもふなのって好きなんだよね。


「お母さん、どう?変じゃない?」


「よく似合ってるわよ。可愛いわ」


「ふふふ〜♪普段こういう格好できないからね」


お母さんと病院の前で話しながら悠真を待っていたら、しばらくして制服姿の悠真が姿を現した。


「栞ー!待った?」


「ううん。楽しみ過ぎて早く出て着ちゃった」


「じゃあ、お母さん行くわね。悠真くん、栞をよろしくね」


「もちろんです。栞はちゃんと無事に帰しますよ」


「……ありがとう。栞、無理だけはしちゃダメだからね?」


「わかってるよ。じゃあねお母さん」


私に釘を刺してお母さんは仕事に行った。


別に大丈夫なのに……


「じゃあ、行こうか」


「うん!ねぇ、悠真の高校ってここから近いの?」


「そこまで遠くはないよ。電車乗るけど大丈夫?」


「あんまり乗ったことはないけど、大丈夫だと思う!早く行こ!!」


今日がとても待ち遠しかったから、私はとてもテンションが上がっていて、悠真を急かすくらいだった。


そんな私に、悠真は笑ってついて着てくれる。


「栞!そんなに急がなくても大丈夫だよ。学校は逃げないんだし」


「あ、うん。ごめんね。今日、とっても楽しみにしてたから……」


「わかってる。でも、走らないで。心配するから」


「うん……」


それからは、悠真が私の手を握って、今度は悠真が先導して私を引っ張ってくれた。


駅についたけど、ここでも私ははしゃいでいた。


切符を買うことも、改札を通ることも。


全部が初めてのことで、興味津々だった。


あれもこれも、悠真が教えてくれたから全部できるようになった。


それから電車に乗ったのだけど、中には予想以上に人がいて驚いた。


でも、悠真に聞いたらこれでもいつもより少ないんだそう。


私には想像もできないや。