「うん。今日は調子いいね」


この人は私の主治医の神代夜(カミシロ ヨル)さん。


この病院の院長さんだ。


そして、悠真のお父さん。


「……夜先生、悠真に言ってないんですか?私のこと」


「ん?ああ、悠真になら、言ってないよ」


夜先生は、キョトンとしてそう言った。


息子で、跡取りで、私の恋人なのに?


「どうしてですか?」


「んー……栞ちゃんは、自分で悠真に言いたいかなと思ってね」


「それ、いいんですか?」


「ん?いいんじゃない?言って欲しいなら言うけど」


先生は、ニヤッと笑って言った。


そんな先生に、私は少し笑って返した。


「……いえ、私が自分で言います。悠真には悲しい思いさせちゃうけど」


「でも、いつかはそうなるって知ってて悠真と付き合ったんでしょ、栞ちゃんは」


「……はい。やっぱり、悠真のことが、好きだったから」


「父親の前で惚気てくれるねぇ。でも、栞ちゃんが決めたことなら僕は反対なんかしないよ。悠真は幸せそうだしね」


でも……そんな悠真を私は、悲しませてしまうかもしれない。


そのことに、湧き上がる罪悪感と、





ひどい、胸の痛み。