ところが予想外の返事が女将さんから返ってきた。
「大変申し訳ございません。
ただいま大変混み合っておりまして、1部屋しかご用意することができないんです。
すいません、どうされますか?」
うそ…。そんな
じゃあ私はいいですと言いかけたところでそれを
矢島にさえぎられてしまった
「じゃあ1部屋を2人で使います」
「わかりました、でわご案内いたします」
そう言って女将さんに誘導されそれについていく矢島
「ちょっと!私は無理だよ!」
「いいから黙ってろよ、こんな雨の中お前1人どうすんだよ」
そんなあ。どうしよう。怖い。
"恐怖"
それしか頭に思い浮かばなかった。
「こちらでございます、ではゆっくりお休みください」
そう言い残すと女将さんは静かに部屋を後にした
「さてと、じゃあここで泊まるか」
「いやだよ!絶対無っ…」
言いかけたところで手でくちをおさえられた
「いいから、言う通りにしろよ」
口を押さえられた途端に恐怖が押し寄せた。
ただ黙って頷くことしかできなかった。
「つーか、お前今あいつと付き合ってんの?」
「あいつって?夕暮くん?」
いきなりとんでもない質問をしてきた矢島に動揺が隠せなかった
「そそ」
「まあ、付き合ってるけど」
「幸せ?」
「幸せだよ」
きっとこの時私はすごく笑顔だったのだろう。
だって矢島くんのことを考えながら話していたから。
でもそれのつかの間だった。

