―――すっかり夜も更けた学校。



文化祭の準備が一区切りした生徒たちが、ざわざわと口々にお喋りしながら玄関の靴箱に向かう。



「遅くなっちゃったね~」


「あ"っ!!ドラマ忘れてた!!」


「録ってるよ、今度見に来る??」


「いいの!?やった!!」


「帰ろ、羽那」



わたし、山下羽那(ヤマシタ ハナ)も、親友の南楓(ミナミ カエデ)に声を掛けられる。



「ごめん、わたしちょっとトイレ。すぐ行く」



「羽那ぁ??」



本当は。
トイレじゃない。