side 遥香


それから、1週間が経ち無事に試験の日を迎えることが出来た。



千尋や、大翔、尊の協力もあってテストの出来はまあまあよかった。



まだ、テストが帰ってきてはいないなから安心は出来ないけど。



だけど、手応えはあったから大丈夫だよね。




「遥香。テストお疲れ様。」




テストが終わってから、急にスイッチが切れたのか、私は体調を一気に崩してしまい、気づいたら隣には尊が傍にいてくれた。



また、病院に戻ってきてしまったのは少し悲しいけど、とりあえず学校も長期休暇に入るから、それほどの焦りはなかった。




って言っても、課題の量はさすがに多いけど。




体調が良くなってから取りかかろう。





「ねぇ、尊。」




「どうした?」




「前期、何も単位落とすことなく乗り越えられたの尊達のおかげだよ。

本当にありがとう。」





「なんだよ、急に。」



少し照れながら俯く尊。




「だからさ、今は治療に専念しようと思うの。


また、尊とお出かけしたいし。」





「そうだな。遥香の行きたいところに連れて行きたい。


元気になったら、またお出かけしような。」




そう言って、尊は私を抱きしめてくれた。




「遥香、ずっと一緒にいような。



俺から離れたら、許さないから。



これからも、うざいくらい遥香を愛するよ。」




尊の言葉に、私の心臓の鼓動はうるさいほど音立てていった。



それと同時に、尊の温もりに私は眠りに入っていた。



朝早く、何か物音がして私は目を覚ました。



「あっ。遥香ちゃん起きた?


起こしてごめんね。


体調は大丈夫?」



物音は、近藤さんの点滴を変えている音だった。




「はるちゃん、私ね。


朝陽と結婚式をあげようと思うの。


それで、はるちゃんにも式に参加してほしくて。」




私は耳を疑った。




「そんな大事な式に、私も参加していいんですか?」





「当たり前。



何年の付き合いだと思ってるの。



それに、朝陽とこんなにも幸せな生活が送れるのは、相談に乗ってくれたはるちゃんのお陰。



はるちゃんがいなかったら、私勇気なんて出せなかったもの。



私が今、こうして笑って幸せでいられるのははるちゃんのおかげなんだよ。」





近藤さんはそう言って、私の頬に触れた。





優しい笑顔と、近藤さんの手の温もりに私はほかほかとした温かい気持ちになった。




「私、近藤さんと会えて本当によかった。



これからも、近藤さんと朝陽先生のこと見守らせていただきますね。」




私は精一杯近藤さんにそう伝えていた。





これから、2人の幸せの形をこの目でしっかりと見ていきたい。




そのためにも、元気にならないとね。