LOVE物語3

「帆乃華さん！」





私は、息苦しさに耐えながら帆乃華さんの近くへ向かった。





「遥香！ダメだ！


近づくんじゃない！」







「私は、たしかに幸せだよ。」







「何？開き直ったわけ？」







「今が幸せでも、その分たくさん苦しい思いも辛い思いもしてきた。


けど、苦しんで来た時間が無駄って思ったことは1度もない。



昔の私があったから、今の私がいる。



辛いことに、向き合って苦しんできたから幸せがあると思う。




私だって、ずっとこのままでいいと思ってた。





誰にも、頼らず1人で生きていけるって本気で思ってた。




でも、そんなのはただの思い込みに過ぎなかった。





1人で生きていても、楽しいとか苦しいとか寂しいとか思ったことなんて1度もなかった。





1人ってそういう事なんだよ？






感情がなくなるんだよ？





たしかにそんな簡単に、幸せになんかなれない。




けど、帆乃華さんにも幸せはくる。




必ず来るから。」







「そんな…根拠のない確信軽々しく言わないでよ！」







「根拠ならあるよ…。



根拠ならある。」








「何よ。」







「帆乃華さん、今こんなに苦しんでるじゃない。



何があったか分かんないけど、今目の前にある壁を乗り越えようと、たくさん苦しんでるじゃない。




たくさん苦しんだ分だけ、幸せになれるんだよ。




帆乃華さん。





もう、自分の身体を苦しめることはしないで。」








「遥香ちゃん…。」






初めて見る、帆乃華さんの涙。





「帆乃華！」




部屋に、帆乃華さんのお母さんが入ってきた。





「すみません、家の娘が迷惑をかけました。


後で、家でちゃんと話し合おう。


帆乃華の、思いを聞かせてほしい。」






「お母さん。」






「遥香ちゃん、でしたよね。


苦しかったよね。本当にごめんなさい。


帆乃華、明日ちゃんと自分の旦那と話し合って。


お父さんのことなら、大丈夫だから。」







「旦那さん…？」






「帆乃華の、付き合ってた人が奥さんがいたのよ。


それで、訴訟を起こされて。



でも、帆乃華の付き合ってた人はどうしても帆乃華とお付き合いをしたいって言ってくれたんだけど、帆乃華のお父さんはカンカンに怒ったの。




それで、帆乃華は家を飛び出して来たの。



煙草を吸うようになったのもその頃からなの。」