LOVE物語3

ーside遥香ー


私は、しばらく酸素マスクと点滴に繋がれたまま、仮眠室で深い眠りについていた。



気付くと、辺りは暗くなっていて、テーブルの上には、千尋と大翔からのメッセージとノートが置いてあった。




今日の病棟オリエンテーションで、メモをしたことを2人でノートにまとめてくれたんだ。





私は、そのノートを開こうと手を伸ばしていると…





「遥香。何してる。」




「ノート、取りたくて。」





「その前に、診察させてくれ。」




尊は、私にそう言うと、そっとシャツのボタンを外し聴診器を当てた。




いつも思うけど、聴診している時の尊の表情は真剣で、格好よくて思わず意識してしまうほどだった。





「遥香、どうした?落ち着け。」



落ち着けって言われても、無理だよ。




そんな事言われると、余計に意識しちゃうよ。





「遥香?」





尊は、胸の音を聞くことをやめて、俯いた私の顎をすくった。




気づいてないのかな?




この、加速する鼓動は尊のせいなんだよ?




そんなことを考えていると、尊がクスッと笑った。





「そういうことか。心は正直だからな。心臓だって、嘘はつけない。」





尊は、意地悪な笑みを浮かべると、私を優しく抱き寄せた。





「遥香、お前可愛すぎ。後で覚えておけよ。」





「え?」







「喘鳴がないかだけ聞くから、もう1回聴診するよ。」





「うん。」





「よし、お昼の時よりかはよくなったな。」





「ねぇ、尊?」




「ん?」




「私が担当する女の子って…」




「遥香が、前に入院していた時、友達になったらしいな。その子が、どうしてもって。」





私が、以前に心臓の手術をする時に出会った女性。




真白帆乃華さん。




たしか、精神病棟にいたのに、どうして呼吸器内科に?




私は、千尋と大翔がまとめてくれたノートを見ていると、真白さんの情報をとっていてくれたみたいで、真白さんがCOPDで入院していたことが分かった。