LOVE物語3

ーside遥香ー

私は、携帯の着信で目を覚ました。



「はい。」



「ごめん、寝てた?」




電話の相手は、大翔だった。



大翔から電話かけて来るなんてよっぽど大切な用事。



「どうしたの?」



私の問に、しばらく何も答えなかった。





「ねぇ、大翔?」




「遥香、落ち着いて聞いてほしい。」




大翔の真剣な言葉に、私の緊張が一気に高まった。



「千尋の姉貴が、交通事故に遭って脳死状態だって。」



私は、しばらく何も考えられなくなった。


私を、本当の妹のように優しく可愛がってくれていた千里さん。



家族同然に、私の事を心配してくれていた。




「遥香?」


私の異変に気づいた尊が、私に声をかけた。




「遥香、今から病院に来られるか?場所が、遥香の通ってる病院の脳神経外科っていうところなんだ。来られたら、来てほしい。」






「…分かった。すぐに行くから。」



「ちゃんと、マスクしてくるんだよ。それから寒いから温かい格好でおいで。」



大変なのは、千尋なのに私の心配も忘れずしてくれる大翔は相変わらずだった。



電話を切ってから、私は尊に全てを話した。




「辛かったな…」



そう言って、頭を撫でてくれた。



尊の車で、病院に向かい急いで千尋達の元へ向かった。




泣き崩れる千尋を、私は抱きしめた。




「はる…」



「千尋…辛かったね。泣いていいよ。」



「遥香ー…」




千尋は、私の言葉に張り詰められた糸が切れたかのように泣いていた。


私は、そんな千尋をただただ抱きしめることしか出来なかった。




悔しいけど、私ができるのは言葉より千尋を抱きしめることだけだから。




そんな私達を見ていた大翔は、私と千尋を優しく抱きしめた。




「遥香ちゃん、大翔君。」




私は、千尋のお母さんの声に振り返った。




「忙しい中、来てくれてありがとう。これからも、今は辛いけど…千尋が乗り越えられるように支えてあげてください。」



「はい。私も、できることはします。」




「遥香ちゃん、ありがとう。」




「遥香ちゃん…千里の心臓をもらってくれないか?」




「え?」




「千里、ずっと遥香ちゃんのことを心配してたの。自分の心臓をあげられたらいいのにって。千里と遥香ちゃんの血液型は同じだから、もし遥香ちゃんの身体に合うなら…どうかな。」




私は、おばさん(千尋の母)の言葉に驚きを隠せなかった。



「幸い、心肺停止になったけど心臓の方は何の異常もないそうなんだ。だから…千里自身の意思を尊重して、遥香ちゃんが繋いでほしい。」