ーside遥香ー
私は、携帯の着信で目を覚ました。
「はい。」
「ごめん、寝てた?」
電話の相手は、大翔だった。
大翔から電話かけて来るなんてよっぽど大切な用事。
「どうしたの?」
私の問に、しばらく何も答えなかった。
「ねぇ、大翔?」
「遥香、落ち着いて聞いてほしい。」
大翔の真剣な言葉に、私の緊張が一気に高まった。
「千尋の姉貴が、交通事故に遭って脳死状態だって。」
私は、しばらく何も考えられなくなった。
私を、本当の妹のように優しく可愛がってくれていた千里さん。
家族同然に、私の事を心配してくれていた。
「遥香?」
私の異変に気づいた尊が、私に声をかけた。
「遥香、今から病院に来られるか?場所が、遥香の通ってる病院の脳神経外科っていうところなんだ。来られたら、来てほしい。」
「…分かった。すぐに行くから。」
「ちゃんと、マスクしてくるんだよ。それから寒いから温かい格好でおいで。」
大変なのは、千尋なのに私の心配も忘れずしてくれる大翔は相変わらずだった。
電話を切ってから、私は尊に全てを話した。
「辛かったな…」
そう言って、頭を撫でてくれた。
尊の車で、病院に向かい急いで千尋達の元へ向かった。
泣き崩れる千尋を、私は抱きしめた。
「はる…」
「千尋…辛かったね。泣いていいよ。」
「遥香ー…」
千尋は、私の言葉に張り詰められた糸が切れたかのように泣いていた。
私は、そんな千尋をただただ抱きしめることしか出来なかった。
悔しいけど、私ができるのは言葉より千尋を抱きしめることだけだから。
そんな私達を見ていた大翔は、私と千尋を優しく抱きしめた。
「遥香ちゃん、大翔君。」
私は、千尋のお母さんの声に振り返った。
「忙しい中、来てくれてありがとう。これからも、今は辛いけど…千尋が乗り越えられるように支えてあげてください。」
「はい。私も、できることはします。」
「遥香ちゃん、ありがとう。」
「遥香ちゃん…千里の心臓をもらってくれないか?」
「え?」
「千里、ずっと遥香ちゃんのことを心配してたの。自分の心臓をあげられたらいいのにって。千里と遥香ちゃんの血液型は同じだから、もし遥香ちゃんの身体に合うなら…どうかな。」
私は、おばさん(千尋の母)の言葉に驚きを隠せなかった。
「幸い、心肺停止になったけど心臓の方は何の異常もないそうなんだ。だから…千里自身の意思を尊重して、遥香ちゃんが繋いでほしい。」
私は、携帯の着信で目を覚ました。
「はい。」
「ごめん、寝てた?」
電話の相手は、大翔だった。
大翔から電話かけて来るなんてよっぽど大切な用事。
「どうしたの?」
私の問に、しばらく何も答えなかった。
「ねぇ、大翔?」
「遥香、落ち着いて聞いてほしい。」
大翔の真剣な言葉に、私の緊張が一気に高まった。
「千尋の姉貴が、交通事故に遭って脳死状態だって。」
私は、しばらく何も考えられなくなった。
私を、本当の妹のように優しく可愛がってくれていた千里さん。
家族同然に、私の事を心配してくれていた。
「遥香?」
私の異変に気づいた尊が、私に声をかけた。
「遥香、今から病院に来られるか?場所が、遥香の通ってる病院の脳神経外科っていうところなんだ。来られたら、来てほしい。」
「…分かった。すぐに行くから。」
「ちゃんと、マスクしてくるんだよ。それから寒いから温かい格好でおいで。」
大変なのは、千尋なのに私の心配も忘れずしてくれる大翔は相変わらずだった。
電話を切ってから、私は尊に全てを話した。
「辛かったな…」
そう言って、頭を撫でてくれた。
尊の車で、病院に向かい急いで千尋達の元へ向かった。
泣き崩れる千尋を、私は抱きしめた。
「はる…」
「千尋…辛かったね。泣いていいよ。」
「遥香ー…」
千尋は、私の言葉に張り詰められた糸が切れたかのように泣いていた。
私は、そんな千尋をただただ抱きしめることしか出来なかった。
悔しいけど、私ができるのは言葉より千尋を抱きしめることだけだから。
そんな私達を見ていた大翔は、私と千尋を優しく抱きしめた。
「遥香ちゃん、大翔君。」
私は、千尋のお母さんの声に振り返った。
「忙しい中、来てくれてありがとう。これからも、今は辛いけど…千尋が乗り越えられるように支えてあげてください。」
「はい。私も、できることはします。」
「遥香ちゃん、ありがとう。」
「遥香ちゃん…千里の心臓をもらってくれないか?」
「え?」
「千里、ずっと遥香ちゃんのことを心配してたの。自分の心臓をあげられたらいいのにって。千里と遥香ちゃんの血液型は同じだから、もし遥香ちゃんの身体に合うなら…どうかな。」
私は、おばさん(千尋の母)の言葉に驚きを隠せなかった。
「幸い、心肺停止になったけど心臓の方は何の異常もないそうなんだ。だから…千里自身の意思を尊重して、遥香ちゃんが繋いでほしい。」

