ただ君だけを。



「行ってきます。」


誰からも返事はないけれど




そう家に声をかけるのが生まれたときからの決まりだった。




「挨拶は返事がなくても必ずするのよ。」




物心ついた時からこの教えを守り
どんなに辛いことがあっても挨拶だけは欠かすことがなかった。