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空になった缶を潰してゴミ箱に入れると、冷蔵庫から今度は缶チューハイを取り出した。

プルタブを開けようとするけど、長い爪ではなかなか上手くいかない。


「はあぁ。もういいや」


何だか面倒臭くなって缶を台所に置く。

今日は花梨とも飲んできたし、家でも飲み直して相当酔っちゃったみたいだ。

15年前のことなのに、手紙を読みながら当時を思い出してつい泣いちゃったし。

お酒は強い方じゃない。
この辺でやめておこう。


机に広げたままの手紙を手にとって、その文字を追う。


ルーズリーフに書いてあるのは、一方的な終わりを告げる言葉。

たった二行の手紙は、幼い私の心に深い傷を負わせるのには十分な内容だった。



「何がごめん、よ…」


15年前、これを受け取った時のことはよく覚えてる。


私は壊れてしまいそうなぐらい泣いた。

目は腫れ上がって真っ黒い隈が出来、血色の悪い顔に花梨は本気で胸を痛めて心配してくれたんだよね……


そう、この時に初めて花梨の涙を見た。


自分の事のように泣いて悲しんでくれた花梨。

私の大好きな大好きな自慢の親友。


花梨がいてくれてから、私は乗り越えることが出来たんだ。



◇◇