面倒見が良くて情に厚く、ちょっとツンデレ気質があって。

自分をしっかりと持ってる姉御肌タイプの花梨は、周りからも大の人気者。

男子よりも格好良い!頼りになる!
花梨に憧れる女子はかなり多く、桁外れの支持率を誇っていた。

そんな彼女は、泣いてる姿を周りには見せたことがない。

卒業式も大好きだった先生の離任式も、他の皆が大号泣してる中で花梨は凛としていた。


小学二年の時、お母さんを病気で亡くしてからお父さんと二人で暮らしてきた花梨。

当時はたくさん泣いたんだと思う。
辛いことばっかだったはず。

それを乗り越えながら成長してきた花梨は強く逞しく、同年代よりも一回り先に大人に成長せざるを得なかった。

だけど、決して冷たいわけじゃない。
大人といっても、普通の女の子だ。



でも、私は一度だけ花梨が泣いてるのを見たことがある。

私のことなのに自分のことのように涙を流す姿を見て、不謹慎だけど嬉しくて、花梨が親友で良かったって改めて思ったんだ。


「うん……心配掛けてごめんね、花梨……ありがとう」


涙を見たのは今日で二度目。

初めて花梨が泣いたのを見たあの日から今日までの事を思い出して、胸がジンッと熱くなっていく。


長かった……
もうあれから15年の月日が経つんだ。


鼻の奥がツンとして、私も花梨と同じように唇をへの字に曲げて涙が流れ落ちるのを堪えた。






そう、あれは15年前。
私が中学一年生の時に遡るーーー……。