「タンコブ出来ちゃったわね」


保健の蒲田先生が私の腫れ上がった後頭部を見て言うと、氷が入ったアイスバックを再びそこに当てた。


「念のため、球技大会と今日の部活は見学した方が良いわね。それと後から気持ち悪くなったり目眩がしたらすぐに先生に言うこと」

「わかりました」


まだ球技大会は始まったばかりだけど仕方ないか。

日誌を書いてる先生にお礼を言うと、先生は「ねぇ」とペンを置いた。


「私、邪魔しちゃったかしら?」


ふふふ、と微笑みながらとんでもない爆弾を投下する先生。

ゲホゲホッ、と葉山と私は二人して噎せると、先生は「若いっていいわね」と私にだけわかるようにウィンクをして見せた。






「ったく、何やってんのよ」


保健室から戻ると、花梨が満面の笑みで私の肩を抱いてきて、案の定保健室でのことを一部始終吐かされた。

全部話し終わると、開口一番に言われたのがこれ。

正にその通り。
何やってんのよ、私。

今朝のこともそうだし、思い返せば初めて葉山に手紙を渡そうとした時もそう。

私は間が悪すぎる。

絶対誰かに邪魔されてその度にくそ〜って思ってだけど、これは私の持って生まれた運の悪さ。

今回改めてそう思い知った。


「せっかくのチャンスだったんでしょ⁈」

「うん…」


そう、もうこの先訪れるかわからないぐらいの大チャンスだった。

いい雰囲気になって告白するなら今だって心に決めて……

騒ぐ心臓を落ち着かせようと深呼吸をした直後、タイミング悪く蒲田先生が保健室に入ってきて告白が未遂に終わってしまった。