「綾音がすげぇ可愛くなってたからだよ」


語尾につれて弱々しくなる声。

すげぇ可愛いって……っ!
きゅんと胸が震えた。

自分から仕掛けたくせに、思いがけない葉山の甘い言葉に顔から火が出るぐらい一気に熱くなった。

葉山に可愛いって言ってもらえるのは嬉しいけど。

何というか……凄く凄く恥ずかしい。




葉山はコホンと咳払いをすると、私に向かい合って少し緊張した声で私を呼んだ。


「綾音。ちゃんとけじめをつけたい」

「うん…」

「俺と結婚前提に付き合ってください」


葉山が右手を差し出して頭を下げた。


心臓が早鐘を打ち始める。

会社で好きだと言われた時は泣きすぎて言葉で答えられなかった。

葉山への想いは胸に収まりきらない。

私はこの手がずっとずっと欲しかった。


差し出された葉山の手に自分の手を重ねる。


「こんな私で良かったらよろしくお願いします」


ギュッと想いを伝えるように握って、はっきりと答えた。

恥ずかしくて頬が熱い。
だけど、それ以上に嬉しさで心が満たされた。


葉山が勢いよく顔を上げる。

驚いたような、どこかホッとしたような表情が愛おしくて。


ヤバい……何で……
泣いちゃいそう……

泣くつもりなんてなかったのに。

鼻の奥がつんとして涙が溢れそうになった。


「きゃっ!」


握ってた手をぐいっと引っ張られると、私は葉山の大きな胸の中に閉じ込められた。


「ごめん、我慢出来なかった」

「葉山っ……」

「ずっとこうしたかった」

「ゔん……」

「やっと…やっと捕まえた」


葉山の声も震えてる気がした。

速い鼓動、強く抱き締める腕。

全てが愛おしい。