未来郵便 〜15年越しのラブレター〜

「俺はずっと信じてた」

「ずっと?」

「綾音は知らないだろうけど、大学時代の綾音をここで見たんだ」

「え?」


記憶を遡る。
でも、私の大学時代の記憶に葉山の姿は見つけられない。


「初めて見たのは、俺が就活で悩んでる時だった。この近くでの面接が終わった後、ぼーっとしたくて息抜きにふらっと寄ったんだ。そしたら綾音がここにいた。最初は俺の作り出した幻想だと思うぐらい驚いた。でも、次の日も一週間後も一ヶ月後も綾音はいた」


葉山が大切な思い出を話すように懐かしみながら言葉を紡ぐ。

まさか見られてたなんて。
目と鼻の先に葉山がいたなんて、思いもしなかった。


「声掛けてくれれば良かったのに」

「自分の中でまだ綾音に会いに行けるような人間になれてないから我慢したんだ」

「なにそれ」

「俺なりのけじめ。本当はすぐにでも抱き締めたいぐらいだった」

「でも、その時を逃したらもう二度と会えなかったかもしれないんだよ?」


私が在学中はここにいるのはわかってても、ずっとじゃない。

たまたま同じ会社だったけど、違ってたらもう二度と会うことはなかったかもしれないんだ。


「だから信じてたって言ったろ。つーか、絶対探し出すし」


探し出すって簡単なことじゃないと思うのに、どこからそんな自信が来るんだろう。

でも、何でも卒なくこなす葉山なら簡単に出来るんだろうなって思う。


「ねぇ、私が配属されるの知ってたんでしょう?」

「ああ、人事発表で知った。って言っても、細井までいるとは気付かなかったけど」

「どうして初日にあんな驚いた顔してたの?」

「それは……秘密」


恥ずかしそうに目を逸らす葉山。

あ……照れてる。
葉山は照れると顔をほんのり赤くして目を逸らす癖がある。

いつもはこっちが恥ずかしくなるぐらい目を見て話す人なのに。

それが何だか可愛くて、いじめたくなる。


「秘密なんて…悲しい」


大袈裟にシュンとして見せると、葉山は慌てて弁解するように「そうじゃなくて」と少し声を荒げた。