未来郵便 〜15年越しのラブレター〜

「ご飯行く前にちょっと行きたいところあるんだけど」

「うん」


葉山はタクシーを拾い、乗り込むなり行き先を告げる。


なんでそこなんだろう。
二人の共通の場所に行くもんだとばかり思ってたけど。

そこに何かあるの?


二十分ほどで目的地に到着すると、葉山は何の躊躇いもなく中に入る。

まるで知ってる場所のように、銀杏並木の下にあるベンチに腰を下ろした。


「なんで……?」


ここは私がついこの間まで毎日のように通ってた大学だ。

敷地内にある数十メートルの銀杏並木はその季節になるととても綺麗だと有名で、学生以外でもよく散歩に訪れる人はいる。

私もここが好きで、講義の合間に読書したり友達とおしゃべりしたりしてたけど。

特に葉山が座ったこのベンチは私の特等席だった。

夕方、ここに座るとビルとビルの間から赤い夕日が並木道を染める。

見惚れるほど綺麗で、ここでぼーっとする時間が好きだった。


「運命って信じる?」

「運命…?」


葉山はベンチに凭れ、空を見上げながら言う。


運命か。
学生時代は全く信じてなかった。

だって、私の運命の人は葉山だって思ってた中学時代。

すぐに葉山と離れ離れになって、私の運命の相手は葉山じゃなかったんだ、運命なんてないんだって身に染みて感じた。


だけど、時を経て今こうして隣りにいる。
同じ会社に就職して同じ部署に配属されたことは、偶然だけじゃ片付けられない。


「前は信じてなかった。でも、今は信じてる。葉山は?」


葉山は私の問いにふっと笑うと、静かに話し始めた。