未来郵便 〜15年越しのラブレター〜

言葉にならなかった。

長い間宙ぶらりんだった気持ちが、拾われてスーッと胸が晴れていく。


ああ、私。
やっぱり、ずっと葉山が好きだったんだ。

忘れたくて、でも忘れられなくて。
心の奥底に封印した想い。

時間が経てば風化してく。
そう思ってたけど、この恋はずっとそこにあった。

少しも風化することなく、むしろ大きくなってた。


葉山に会いたい。
葉山の声が聞きたい。

葉山に似た人を見つけるとドキッとして。

何度自分が葉山を求めても、気付かない振りをした。


会社に入社して葉山と再会した時、本当は凄く凄く嬉しくて。

葉山に婚約者がいるって聞いた時、立ち直れないぐらい悲しかった。


たくさん泣いて傷付いた恋。

なんで葉山じゃなきゃ駄目なのか。

今なら答えられる。

葉山が葉山だから。

泣くのも笑うのも、幸せになるのも。
全部葉山とがいい。


泣きすぎて嗚咽を繰り返すだけで精一杯な私の頭を葉山が優しく撫でる。

温かい。
冷めた心に火が灯り、温かな綿毛に包まれてるような不思議な感じ。



「細井」

「はい」

「多分、この先も何回だって泣かせると思う。でも、誓うよ。次綾音が泣くときは悲しいからじゃない。幸せだからだ」


細井がふっと笑う。
「キザですね」と言うと、葉山が「うっせ」と目を細めた。

中学の時、気まずくなった二人。

その傷が薄れていく、そんな瞬間だった。


「確かに今のは寒いわ」


そう言って、見計らったように階段を降りてくる課長。

後ろには倉本さんの姿がある。


「俺に感謝しろよ、葉山」

「感謝?キレるの間違いじゃないですか?」


葉山が間髪入れずに呆れた声で言う。

だけど、顔は満更でもなさそうに笑っている。