なりたがり



 その“好き”に様々な“好き”が含まれている事は、きっと彼には一生分からないだろう。


「あ、雅ちゃん。お帰りなさい」


 家に帰ると、愛梨さんがいつものように出迎えてくれた。

 優しげな瞳がすぐさまわたしの隣を捕らえ、愛情を持って細められる。
 日和さんは何処かくすぐったそうに小さく会釈をした。


「お邪魔します」

「日和君もお帰りなさい」


 愛梨さんはいつもそうだ。
 日和さんは週の半分くらいはこの家に遊びに来ている為、恰(あたか)も家族の一員であるような扱いをする。日和さんはそれが嬉しいようだった。
 日和さんが笑ってくれるのならわたしも嬉しい。