よく耳を澄ましてみれば、他教室からも慌ただしく足音が走り回っているのが聞こえてくる。
入学時から繰り返される日常の光景に、わたしも友人である彼女――田所美紀(たどころ みき)も最近では少々うんざり気味だ。
それも一重に彼等の影響と言っていい。
毎度毎度重役出勤をして来ては校内を騒がせる。
「何アレ。アイドル気取り?」
特にミキはその気持ちがわたしよりも強いらしく、吐き捨てるように言って鼻で嗤った。
これも毎日の光景だ。
「ただのイキがってる奴等をちやほやするなんて馬鹿みたい」
「まあ、言っても結局は不良だからね」
「悪ぶってんのがカッコいいとか言ってんの、どんだけガキだよって感じ」
普段よりも厳しい毒舌に、これはもう苦笑するしかなくなってしまう。
適当な相槌を打ちながら頬杖を突いて外の世界を眺めていれば、嫌でも入ってきてしまう彼等の姿。
そのグループに所属している彼等は年相応にじゃれ合ってはしゃいでいる。それを傍から見て各々盛り上がる生徒達の声は窓を閉めていても僅かに漏れ聞こえてくるのだから、相当大きく騒いでいるのだろう。

