なりたがり



「消えてくれませんか?」

「え?」

「わたしの世界に、貴方は必要無いから」


 それだけ言い置いて、わたしは歩き出す。


(……家、帰ろう)


 とてもではないけれど、今日はもう真面目に授業を受ける気になどなれなかった。

 失くしてしまった。
 わたしのミスだ。

 大事な物なら不用心に筆箱になど入れておくべきでなかったのだ。ずっと肌身離さず持っていればよかった。


「……宝物、だったんだけどなあ」


 ジョーさんはいつしかわたしに纏わり付くのを諦めたようだった。打っても響かないわたしを見て、大方面白くなくなったのだろう。

 高校生にもなって下らない。

 自分より弱いと思う人間を虐める事でしか愉しめないのか。