舌打ちしたい気持ちを何とか抑え込んで、踵を返す。
もしかしたら既に行った場所に見落としがあるのかもしれない。
これだから嫌なのだ。人間というやつは。
一度自分の敵だと認識すると人間を人間でないかのような扱いをする。だから此方も目には目を歯には歯を――そういうやり方しか出来なくなる。
「また体育館裏ー?さっき行ったけど無かったじゃーん」
「うるさい」
「おーおー。随分と余裕無くなってる感じですねー」
人の苛立ちすらも遊びに変えてくるこの男、ジョー。好い加減消えて欲しい。
「ジョーさん、暇人ですね」
「そうかなあ?暇じゃないよー。俺、これでも一応“お姫様”の護衛役言い遣ってるからー」
「だったらその大事なお姫様のトコ、行ったらどうですか?」
「今は彼氏とアツアツ中なのよー」
「その話し方、苛っとするって言われません?」
「言われるー」

