なりたがり



「あれ?教室戻るんじゃないのー?」

「教科書だけじゃなく筆記用具とかも一式全部やられちゃったモンでー」

「ははっ、カワイソー」


 全部ばらばらに捨てるとは、どうあっても相手はわたしの落ち込んだ顔を見てみたいらしい。実際、これで筆箱やペン達までも実質被害に遭っていたら泣ける。
 金に物言わせて傷付けるのは流石に卑怯だ。

 特に筆箱の中には一つ、わたしの宝物が入っている。もしあれが無くなっていたら、わたしは彼の事もそれをした人間の事も許せなくなるだろう。

 体育館裏、全階のトイレ、屋上、ゴミ捨て場―――。

 探す場所探す場所、彼は暇なのか着いて来た。


(……無い)


 いよいよ呑気な事を言っていられなくなって、相変わらず隣を歩くジョーさんの相手をしている余裕も無くなってきた。


(アレだけは取り返さないと)