「雅ちゃん、学校はどうだった?」
一日に一回、どんなに忙しい時も愛梨さんはこうしてわたしの話を聞いてくれようとする。
母親であろうとしてくれるその姿に、何度胸を打たれたか分からない。
「うーん、普通だったよ。いつも通り」
「いつも通り?」
「遅刻ギリギリになっちゃってー、授業はやっぱ面白くなくてー、で、いつも通り帰って参りました!でもその帰りで日和さんに会えたからラッキーって感じ?」
「ふふ、雅ちゃんらしい。日和君は?学校どうだった?」
「僕も普通ですよ。でも授業はつまらなくないけど」
「日和さん勉強好きだもんねー」
「そうだね。勉強はやればやる程結果が出るから」
「雅ちゃんも見習わなきゃ」
愛梨さんが冗談めかした表情で言うので、つい顔を顰めてしまう。
日和さんとはそもそもの頭の造りが違う。わたしにとって勉強はやればやる程結果が出るという単純なものではないのだ。努力したら戻って来るのは精々その三分の一程度。
自分では馬鹿ではないと思っているけれど、自ら進んで机に向かいたくもないといったところだ。

