そんな椿子ちゃんに、竜憧くんが赤くになってそう言ってもニコニコしたまま。
「シュウ、私今日は帰るから。あとはごゆっくり」
え?帰る!?
「あの?帰るって?」
「あ、私、ここには住んでいないんです」
「オレらの両親離婚してんだ。オレは親父とここに住んでるけど、椿子は母親と別のとこに住んでる」
「…………そ、そうなんだ」
竜憧くんの家が、そんなに複雑だったなんて。
なんか私、すごい秘密を知ってしまったようだ……。
「じゃあまたねシュウ」
ハラハラしているうち、妹の椿子ちゃんは階段を降りて、本当に帰ってしまった。
残ったのは竜憧くんと私。
すごく悪いことをしてしまった気分だ。
だっていきなり私がここに来なければ、彼はそんな家庭の事情を、私に話す必要はなかったんだから。

