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授業終了を知らせるチャイムが鳴った。休み時間だ。固まっていた教室の空気が、一気に流れ出す。
「竜憧くん。ちょっと」
教科書とノートをしまったとき、ちょうど小海がこっちに歩いてきて。そしてそのまま教室の出口に。
「ちょっといい?」
そう言いながら、オレを廊下に手招きする。
なにか話でもあるんだろうか、何となく嫌な予感がしたけど席を立つ。
小海は人の少ない廊下の角まできて、振り返った。
「金曜の夜はびっくりしたよ」
やっぱりそれか。想定した通りの話だ。
「…………あ、ああ、オレも」
「竜憧くんがあんなに千歳を心配してるなんて思わなかった」
「…………ッ」
「もしかして千歳のこと好きだったりして?」

