「何が総長だよダッサ!絶対に仲間や女にチヤホヤされたいだけじゃん」
「うっわ……千歳毒吐くね~」
「暴走族は嫌いだけど、その総長なんかこの世で一番嫌い。一番軽蔑する」
け、けいべつ…………。
千歳の言葉でオレの心はボロボロだ。道路に落ちて何百回も車に轢かれた雑巾よりもボロボロだ。
もし正体を知られたらどうなるんだろう。
さっき秘密を告白しようかと傾いた気持ちは、みるみる萎んでゆく。
言えない…………やっぱ言えねー…………‼
「竜憧くん」
千歳はそんなオレに、おもむろに身体を向けた。
「竜憧くんは暴走族なんかやらないよね?」
「ッ」
ふたつの目にじっと見つめられて息を飲む。
「……………………あ、うんやらない」
考えるより先に頷いてしまった。
「よかった!」
すると、ほっとしたように微笑む千歳。
思わぬ笑顔が見れたけど、また嘘をついた罪悪感でますます心はズタボロだ。

