あ、やば。
「いや、だから、…………女を嫌いな男なんかいないんじゃない?……って意味」
言い訳が苦しい。
ふたりはふーん?と不思議な顔をしている。
「でもなんか総長って、無口で怖くて、とにかくすっごい"イっちゃってる人"みたいだよ。殺し屋みたいな目ぇしてるって!怖ぁ」
「ッ」
オレ世間でそう思われてんのか………………。
殺し屋はとりあえず置いとくとして、"女嫌い"って噂がこんなに浸透してたなんて……!
それもこれもアイツら(メンバー)のせいだ!
変な噂広めやがるからオレに彼女できねーんだよ!
(今度シめるか!?)
机の下で、密かに握った拳を震わせていると、
「どうせカッコつけたいから総長なんかやってんでしょ?」
うんざりって感じの千歳の声が耳に入った。それは耳から全身をめぐり、ぐさっと心臓に突き刺さる。

