「あー、誰かと思えば千歳やん」
やっとせいせいしたところ、ギャラリーのなかから聞き覚えのある声が飛んできた。
このよく透る関西弁は…………。
「相変わらず気ぃ強いなぁ。まあそういうところが魅力やねんけど」
「茜センパイっ!?」
目を疑う。
なんで魔陀羅の集会に茜先輩が!?
「うっそ、なにしてんですか?……まさか魔陀羅に興味あるとか……?」
私がそばに駆けよると、先輩は笑って手を振った。
「ははは。まさか。族なんてダルイことやらんよ。今夜はは"付き添い"」
付き添い?
誰の?って訊こうとした同時、先輩の横に立つ小柄な女子に気づいた。
妹の乃愛ちゃんだ。
「こいつが魔陀羅を視察に行くっていうから保護者として着いてきただけ。迷惑もいいとこや、せっかくの土曜の夜やのに」
「なら帰んなさいよ、私子どもじゃないんだから‼」
「アホ、子どもやろ」

