「私急いでるんで」
こんなヤツにかまってる場合じゃない。竜憧くん探なきゃ。
見つけても声はかけない、遠くから見るだけでもいい。そしたら帰ろう。
「待てって。……んー、アンタよく見るとそこそこ可愛いし、けっこうタイプかも」
なのに変な男はそれでもついてくる。
しかも"よく見るとそこそこ"って失礼じゃない!?失礼だよね!?"そこそこ"って強調すんなよ!
「私はぜんぜんタイプじゃないし、彼氏いるんでごめん!」
彼氏いるんで!……ってセリフ、一度言ってみたかった。なんか気持ちいい。
「え、まじ?どこに?」
でも男はそれでもひるまず、周囲をきょろきょろする。
「……いまはちょっと……離れたところに」
「あー、なるほど、彼氏にナイショで集会見学?いるよね、そういう悪いコ」
「…………ホントほっといてもらえる?(まあ半分は当たってるけど)」
このひと、私が竜憧くん(総長)とつき合ってるなんて夢にも思ってないんだ。…………当たり前か。
にしてもなんかイライラする。

