*side 竜憧 柊*





千歳がなんでこんなところに、しかも死ぬほど大っ嫌いな魔陀羅に囲まれているのか、オレにはさっぱり分からない。


でも、これだけは分かる。



千歳が今にも泣きそうだってこと。
張り裂けそうな顔で、ぎゅっと目を閉じた。


「…………ッ」


オレが、こんなオレなんかがお前を好きだって言ったら、迷惑だよな。



死ぬほど嫌いな族の総長なんかやってんだから。



そんな男に、"オレの女だ"…………なんて言ってほしくないよな…………千歳。