『正しいだけじゃ勝てないんだよ。力がなきゃ。痛い目をみるだけだ』
いつだったか、竜憧くんに言われた言葉が頭をよぎった。
確かにその通りなのかもしれない。でも、正しいことをいって痛い目をみても、私は負けたとは思わない。
負ける……ってのは力に屈して、言いたいことを言えなくなったときよ。
「…………」
胸ぐらを捕まれたままで睨み合ってると、男はフッと力を抜いた。
「いい根性してんな。女とガキには手ェ出すな……って総長に言われてるから見逃してやる」
「ッ」
私の制服を握っていた厳つい手が離れたとき、隣の小海がほっとしたのか、深く息を吐いた。

