バスが急ブレーキを踏んだ理由はこれか。
「……ほんと……族なんか………迷惑……」
ふて腐れたように小海はボソッと呟く。
駅を経由し、目的の停留場にふたりで降り立つ頃、外はすっかり闇に支配されていた。
夏のぬるい風が小海のハネた髪を揺らす。
「遅くなって怒らんねーの?」
小海にそう訊かれ腕時計を見ると、針はもうすぐ八時を指そうとしている。
「大丈夫……じゃないけどあとで謝るよ」
「へー、そうですか。て言うか、こないだここで会えたからって今日も会えるとは限んないんだからな」
「分かってるよ。でも仕方ないじゃん、竜憧くん電話出ないんだもん。まさか走ってる族つかまえて総長の場所教えろなんて言えないでしょ?」
「…………怖いこと言うなよ」

