「…………あんたが違うって言うなら信じる」
「……」
小海は無言でまた視線を窓の外に戻した。
なんとなく尖っていていた私たちの雰囲気が、すこし柔らかくなった気がする。
私は前を向いた。
バスのフロントガラス越しの空は真っ暗だ。これからの不穏な空気を予感させる。
でも…………、噂の犯人が乃愛じなゃなく、小海でもないならいったい誰なんだろう。
茜先輩?
でもそんなことする理由が思いつかない。
「実は竜憧って魔陀羅の総長らしいよってことは、けっこう前から噂になってたぞ」
考えこんでいると、まるで私の気持ちを読んだように小海が話し出した。
「……え!?誰が……」
「知ってるやつは知ってるってことだろ。ま、ほとんど誰も信じてないけどな」

