「東田さん?どうしたの?」

電池が切れたように動かない私を、飛島さんが訝しそうに覗きこむ。

「ごめんッ‼私今日大事な用があるんだ‼」

「…………え?」

お腹の底からそう叫ぶと、ぽかんとした飛島さんを置いて、今まさに教室を出ようとしているさっきを掴まえた。

「さっち‼お願い‼今日、私の代わりに文化祭の委員会行ってくれない!?この埋め合わせは必ずするから‼」

「……ち……とせ?」

飛島さん以上に驚くさっち。私は拝むようにパンっと両手を合わせた。

「私どうしても行かなきゃいけないの‼一生のお願いッ‼」

さっちも飛島さんも、呆気にとられて固まってる。

両手を合わせたまま、じーっとさっちを見つめていると、彼女はやがてゆっくり口を開いた。

「…………それって竜憧くんに関係ある?」

「うん‼」

「そっか…………千歳、ほんと好きなんだ」