「オイッ!」
考え事に気をとられていると、突然、頭上から大声が降ってきた。
没頭していて見えてなかったけど、目の前に大柄の男子が立ちふさがっている。
興奮して息の荒い田母神だ。鼻の頭が真っ赤になってる。
「な…なに!?びっくりさせないでよ、私いま忙し……」
「"アイツ"が魔陀羅の総長って本当か!?」
「……っ」
どうやら噂は田母神の耳にも入ってるらしい。
「お前知ってんだろ?なんかイチャイチャ仲いいもんな!」
「関係ないでしょ」
「なァ教えろよ、どうなんだ本当なのかよ?」
いつも偉そうにデカい態度とってるのに、今はその余裕を全然感じない。どころか焦ってる。
そうか…………、いつも竜憧くんに絡んでは、幼稚な嫌がらせしてるからヤバいと思ったんだな。
ちょっとだけざまぁみろって気分。

