それから1週間が過ぎたある朝だ。
思いもよらないことが起こったのは。

学校に着くと、女子も男子もある噂で持ちきりだった。

「あ。千歳!」

教室をくぐるなりさっちに捕まった。

「おはよ。……どーかしたの?」

なんとなくいつもと違う空気を察知した。

「ちょっとこっち来て!」

さっちは私の腕に腕を絡めると、そのまま教室隅に引っ張る。

この時点でなんか嫌な予感……。

「どうしたの?」

さっちは窓の前で足を止ると、もう一度あらためて私に訊ねた。教室の入口をきょろきょろしながら。

「今日は一緒じゃないの?ここんとこ毎朝一緒に来てるけど」

…………なぁんだ、また竜憧くんの話か。

「うん、まあ、今日は別」

誰に聞かれてるわけでもないけど、答える声は小さくなった。