"竜憧くんが好き────"
そう意識したら、今の今まで洪水のように溢れていた言葉が、今度は泡のように空気に消えてしまった。
スロー再生してるように、ときがゆっくり流れる。
形のいい眉、睫毛の一本一本までくっきり見えるほど見つめ合った。
それはほんの数秒かもしれないし、数分かもしれない。
なんだろう、この高揚感。
夢のなかにいるみたいだ。
スピーカーから漏れるチャイムも、遠いところで鳴ってるみたいに現実味がない。
いまこの瞬間が心に焼きついてゆく。
ずっと黙っていると、突然竜憧くんが「アーーッ‼」っと絶叫して自分の髪を掻き乱した。
びっくり。
「その顔で見つめるのやめて‼したくなっちゃうからッ‼」
「…………っ!?し、したく……?なに……?」
あまりに突然だったから、心臓が止まるほど驚いた。
「だからあんなことやこんなことを……」
「………………い、いきなりなに言ってんの!?人が真面目に話してんのになんなの!?」
こないだの夜道、"抱きしめていい?"って訊かれたことが頭に過って。顔が燃えるほど熱くなった。

