「千歳ッ!?」
駆け寄って上半身を抱き起こすと、ぐったりして目を閉じていた。意識を失っている。
口を塞いでいるテープを剥がす。やはり千歳だ。
「オイ!?大丈夫か!?千歳!?千歳!?しっかりしろッ‼」
何度か身体を揺すると、「う~ん」といううめき声とともに、左の眉がビクビクっと動いた。
どうやら意識がないだけで命に別状はないらしい。
だが…………、
「テメェ千歳に何しやがった!?」
まだ呆然とドアの横に立っている乃愛を思いきり睨んだ。もし女じゃないならとっくに殴っているところだ。
乃愛はあきらめがついたのか、開き直ったのか、はあーっと大げさなため息を吐いて「別に……」と呟いた。
「別に何もしてないよ?騒ぐから薬嗅がせただけ」
そして、事も無げにそう言い捨てた。
だがそれを隣で聞いた茜の表情はみるみる強張ってゆく。

