連れてこられたトイレの裏に、"誰かいる"と気づいたからだ。
しかもそれはオレにとって信じられない人物だった。
月の光が照らしたその顔は、妹の椿子に間違いない。
今タカシが"上手くいった"と話しかけたのは、オレじゃなく椿子だったと気づく。
「…………つッ…!?……オイ‼!?なんでお前までこんなとこにいンだよ‼!?」
信じられない、マボロシであってほしい。
「テメェが連れてきたのか!?こんな危険なとこに!?何考えてンだよタカシッ!?」
「シュウ怒らないで!」
「……ハ!?」
「私がはじめに提案したの!」
「……!?」
タカシに詰め寄るオレの前に、毅然とした目で立ちはだかる椿子。
「一体どういうことかちゃんと説明しろよ!なんでお前らがここにいるのかを‼まさかケンカ見物に来たんじゃねェよな!?」

