「そんなことないし!」

一瞬みとれたことを見すかされた気がして、慌てて否定したものの、小海の関心は別のところにあるようだ。

「なんか竜憧、いまスゲー不自然に族の話切ったと思わない?」

「…………そ、そう?」

でもそう言われるとそうかも。

もしかして彼も族が嫌いだったりして?

私が暴走族のことを思いきり悪く言ったとき、なんとなく悲しい瞳になった…………気がしたし。

「それともォ、オレが千歳って呼び捨てしたから対抗心だったりしてェ~?」

「……な、なんでよ!?変なこと言うな!」

頬が…………熱い‼

「マジで惚れたの?あんなよく分かんないヤツに。……ま、顔はイケメンだもんな」

「だァから違うし!」

小海も竜憧くんにあまりいい印象を抱いていないみたい。

要するにイケメンだって理由だけでも、男子たちの反感を買ってるわけだ。

転校早々、不登校なんてことにならなきゃいいけど。

「なぁー?それより今週の金曜ヒマ?」

小海がにんまり微笑む。こいつがいたずらっ子みたいな笑みを浮かべたときは要注意だ。

…………なんか警戒。

「なんで?」

「魔陀羅の集会、見に行かね?」

答えを聞いて、ふーっとため息。そして即答。

「行、か、な、い!(怒)」