罠だとしても、ここでこうしてケンカしていて千歳が助かるわけじゃない。もしかして一刻を争うかもしれない。

放っておけるわけがない…………‼

だが、今リーダーのオレがこの場を離れたらこの戦いはどうなる……!?魔陀羅はどうなる……ッ!?

こうしてオレの気持ちを揺さぶるのが狙いだと分かっていても、冷静ではいられなかった。

と、死國の先頭にいた、XJRに乗る厳つい男が単車を降りてこちらに叫んだ。

「オレは初代死國連合頭代理の霧島や‼魔陀羅の"頭"張ってる野郎はどいつやッ!?」

霧島と名乗る大男が言い終えないうちに、オレは仲間たちをかき分けて前に進み出た。

ジャリッ……ジャリッ……ッと、皹の走るコンクリを踏みしめ霧島に歩み寄る。

「…………お前が"ラギ"とかいいよるヤツか?無敵っちゅうから期待したけど思ったよりひ弱そうやな?」