「…………ラ、ラギ……さん……?」

オレの異変を察したひとりが、顔を覗きこんできた。

「どうかしたンすか?」

「……………………いや…ッ」

こうしてる間にも、死國連合と名乗る連中はバイクの爆音と共に次々河川敷に降りてくる。

そして待ちかまえていた魔陀羅の連中も、完全に戦闘モード。

「遅せぇーンだよッ‼」

「チンチラ走ってるからチャリで来たンかと思ったわ‼」

今まさにふたつのチームが衝突しようというとき、この状況でオレがこの場を抜けられるか!?

離れられるワケない。

オレを動揺させるために千歳を拐ったのか!
だがら今夜いきなり呼び出したのか……!?

気づけば、噛み締めた唇から血が滲んでいた。